もし、ここからできるだけ遠くの、なるべくずっと遠くにある知らない街のコンビニへ行ったとしても、店のちょっと奥まったところにある、あの棚には彼らが待っている。まったくべつの場所に住んでいたとしても、おなじ時間を生きて、おなじ形の、おなじ味を食べている。ぜんぜんちがう仕事をしていたとしても、家族がいてもいなくても、恋人がいてもいなくても、男でも女でも、あるいはそうでなくても。つぶあん&マーガリン、甘いとしょっぱいが重なりあっている。ぼくたちはコッペパンに挟まれている。

コンビニで買ってきたコッペパンに詩を書いたシールを貼って、コンビニと同じ価格で販売する。TRANS BOOKS 2018で初版を発売したあと、翌年に開催されたTRANS BOOKS 2019で再版しました。
https://archive.transbooks.center/13

以下は、TRANS BOOKSの会場で掲示した説明文です。

本は、おなじ情報が、おなじ価格で、どこでも手に取れるものです。しかし、約13,000店(※1)といわれている全国の書店の数は減少の傾向にあり、店頭で本を手に取れる機会は失われつつあります。その一方で、コンビニエンスストアの店舗数は51,000店を超え(※2)、さらに増え続けています。おなじ情報が、おなじ価格で販売されて、どこでも手に取れるものが本だとするならば、たとえば僕が毎朝のように食べているこの菓子パンも、本といえるでしょうか。広がり続けるいまの本と読書を考えるために、かつて本というメディアや、本屋が担っていたのかもしれないプラットフォームの役割を、コンビニエンスストアと菓子パンに重ねて、詩を書くことにしました。

※1 出典: 日本出版販売株式会社のウェブサイトの新卒採用情報「出版業界の構造」より
※2 出典: セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンが2018年10月7日時点で公表している日本国内の店舗数の合算より