こんなに毎日みんなで命について考えつづけているのはひさしぶりだよね。部屋で8時間ディスプレイを見つめたあと、コンビニへ行こうと外へ出た瞬間に夜空に流れ星が光って、ツイッターを検索すると3人ぐらいつぶやいていた。電子レンジと、電気ケトルと、エアコンを同時に使ってブレーカーが落ちると、浴室乾燥機の時計が12時になってシンデレラが帰る。

このくらいの気温が死ぬまでずっと続けばいいのに。薬局の棚はからっぽで、寝るときにつけると保湿で美顔になるマスクと、薄いピンク色のマスクだけ売れ残っていた。いまこの時代に生きていることを全力で楽しまないと後悔すると思ってネットフリックスを契約してるけど、1秒も観る時間ない。ぼんやりしてたから気がつかなかったけど、もしかして今って非常時?

ずっと物語が苦手だと思っていたが、嘘が苦手なだけなのかもしれない。ラーメンとつけ麺をいっしょにやるような思想のない店は信用しない、という自分のルールを忘れて、また失敗してしまった。エスカレーターの手すりの速度が足場よりほんのすこし遅いことを、僕だけが気になっている。もっともっと働きたいし、もっともっともっと遊びたいから、生命保険に入ろうかな。

鼻と口だけじゃ酸素が足りない。混ざったらどんな味になるんだろうと期待して注文したカレーライスとハヤシライスのあいがけは、どちらも量が少なくて、ふたりは出会うことなく世界は幕を下ろした。すれちがったカップルがカルピスソーダを持って楽しそうに笑っていたので、コンビニに着くなりカゴに入れてしまったカルピスソーダ。かばんにiPadとみかんを入れてたから、iPadからみかんの匂いがする。

オフィスグリコを見にいったら「柿の種 カレー味」しかなかった。実印と、年金手帳と、パスポートと、マイナンバーカードと、ラブレターは同じ場所にしまってある。満足を司る神経が死んでるので、白米を1合たべても腹がいっぱいにならない。なんの症状も発症していないだけで、みんな感染してる潜伏期間が80年のウイルス。世界が、この大戸屋新宿センタービル店みたいに、みんなひとりぼっちならいいのに。

ぜんぜん別の場所にあるものが、重なって見える。いま起こっていることが、いつか体験したことのように感じられる。速すぎてよく見えないけど、出会った瞬間に別れている。それを繰り返している。からだの輪郭が高速に振動して、中と外が入れ替わっている。なんども死んでは、生まれ変わっている。それはそれとして、わたしたちはきょうも暮らしていかないとならないから、便宜上こんなことを命と呼んでやりすごしているわけなのだが。

あしたも性善説、全肯定、想像力でいこうね。アレクサ、命の量を人数で数えない世界になったら起こして。